きりん通信8月2019年 №48 ♦幸せを与えてくれるのは、富でも豊かさでもなく、穏やかさと仕事である

幸せを与えてくれるのは、富でも豊かさでもなく、穏やかさと仕事である】

▼こちらからダウンロードも可能です。

きりん通信2019年8号 №48

2019年8月きりん通信NO.46(おもて)
働き方改革の隠れた目玉 “副業・兼業の普及促進”
厚生労働省は、副業・兼業の促進に向け、関連法令の整備を進めています。基本となる労働時間管理についても、労働政策審議会で具体的な検討を進める予定です。
この発表を見たとき、個人的には非常に違和感を覚えました。何が狙いなのでしょう?
事業主の皆さんにはあまり賛同を得られないかもしれませんが、厚生労働省は日本企業の発展を支える為、
特に、日本企業の99.7%を占める中小企業の支援を業としています。いろいろと無理難題を言うこともありますが、結果的に企業の発展に役立つ正論(理想論?)だと思える一面が必ずあると思っています。
その無理難題を、個々の企業の状況にカスタマイズするのが私の大きな役目のひとつだと思っていました。
前置きが長くなりましたが、この副業普及の法案に関しては、狙いが分かりにくいですね。
厚生労働省は、9 回に渡り検討会を重ね、2019 年 8 月 8 日に報告書を公表しました。
●複数就業者の業務上の時間外労働
【現 行】時間的に、後から労働契約を締結した事業主に、時間外労働の責任がある。
【検討案1】労働者の自己申告を前提に、通算して管理することが容易となる方法を設ける(分かりにくいですね)
 それぞれの事業主の下での労働時間をあらかじめ設定し、その時間内に収めること、などです。
【検討案2】事業主ごとに上限規制を適用。割増賃金も、各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ支払の義務が生じる。(こちらは通算した労働時間が過労死認定ラインを超える場合が生じる)
★上記は現段階では「考えられる選択肢」として挙げられたものに過ぎません。
●複数就業者の労災給付
【現 行】業務災害が発生した就業先の使用者に無過失災害補償責任が課される。労災給付額は災害発生事業場の使用者から支払われていた賃金のみによって算定される。
【検討課題1】労災給付は働けない期間の所得補償なので、副業者の場合、全事業所での所得を元に算定されるべき
【検討課題2】労災給付は休業4 日目から支給されるが、使用者が義務を負う3 日間の補償についても合算すべきか
【検討課題3】副業を禁止している使用者にも、責任を問えるか?
【検討課題4】長時間労働による精神疾患や脳・心臓疾患の認定についての責任分担は?
★現時点では、上記のような問題提起と使用者代表・公益代表・労働者代表それぞれの意見が出されたところです
副業における割増賃金支払いの義務はどこに落ち着くか、副業を持ち、長時間労働となり精神障害、脳障害となってしまった場合、全労働時間が通算されて認定されるのか。副業が自営活動であった場合はどうなるのか。
まだまだ検討すべき項目が多数ありそうです。副業に関する就業規則の整備はもう少し待った方が良さそうですね
毎年 10 月に最低賃金が改定されます!
令和元年度 地方最低賃金審議会のポイントは、次のとおりです。(別添資料あり)
・東京、神奈川で全国初の時間額1,000 円超え(東京都1,013 円、神奈川県1,011 円)
・改定額の全国加重平均額は901 円(昨年度874 円)
・全国加重平均額27 円の引上げは、昭和53 年度に目安制度が始まって以降で最高額
・最高額(1,013 円)と最低額(790 円)の金額差は、223 円(昨年度は224 円)となりました。
そう言えば、安倍総理は2015 年11 月に、最低賃金を1000 円にすると表明していましたね。埼玉県は926 円(;゚ Д ゚)
2019年8月きりん通信NO.46(うら)“残業代不払い・過少払い”に警笛です。
きりん事務所を信じて下さる事業主の皆様にお伝えいたします。残業代の未払いは、全く通用しない時代に
なります。「全く払っていないわけじゃない」という事も通用しない事例が公表されています。
わが身に降りかかる前に、今起こっている事例をご一読下さい。(別添資料あり)
「割増賃金の基礎となる賃金」を誤り多額の未払い 2 年分を支払いへ
「残業代などの超過勤務手当の計算を誤っていたために当該手当の未払いが発生し、そのうち、時効により請求権が消滅していない2 年分を支払う」といった報道がありました。(2019 年7 月25 日)
社員約190 人(退職者を含む。)の2017 年7 月からの2 年分の同手当の未払い分、計約1,600 万円ということです。
割増賃金の基礎となる賃金を適正に求めることは、給与計算の基本中の基本といえますが、それを誤ると、1,600万円もの支払いが生じることもあるという事例です。残業代は「基本給のみ」で「役職手当など」を含めないといった計算を用いている企業は、まだまだ多いかもしれませんが、合法的な制度導入をご検討下さい。(別添資料あり)
「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」「管理監督者」「事業場外労働のみなし労働時間」「定額残業」
様々な制度を駆使して残業に対する対策を講じている会社も多いかと思います。どの制度も適切な運用が行われていない場合は、無効とされてしまうケースも多いです。今一度制度の見直しをお勧めいたします。
きりん事務所からお知らせです。
2009年12月から自宅の一部を事務所として操業して参りましたが、10年目となる今年、事務所移転を果たすことが出来ました。皆さまの温かいご厚情と、皆様の社業の発展が、きりん事務所をここまで支えて下さったと、改めて心より感謝申し上げます。
◆偉人の名言◆ 幸せを与えてくれるのは、富でも豪華さでもなく、穏やかさと仕事である。
仕事に充実していると、飾り立てる物に興味がなくなると感じます。「もう少しましな鞄を見つけたら?」と言われる事もありますが、物欲が湧きません。幸せだなぁと思います。
今月の名言は、第 3 代アメリカ合衆国大統領。独立宣言の主要な作者~トーマス・ジェファーソン~でした。