月180時間余りの残業で精神疾患 労災認定

「バス運行会社に勤務する男性運転手(休職中)が精神疾患を発症したのは、長時間労働が原因であるとして、所轄の労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。」という報道がありました。
男性の代理人弁護士が、平成29年11月22日に記者会見をして明らかにしたもので、その会見によりますと、男性運転手は、平成27年3月に同社に入社し、京都市や名古屋市を巡る1週間程度のツアーなどを1人で担当していましたが、同年5月、精神疾患を発症。その約2か月後から休職し、平成29年3月に労災を申請。発症前1か月の残業時間は181時間だったとして、同年11月9日、労災認定されたとのことです。
同社が「休憩」として取り扱っていた待機中も、日報作成やルート確認、乗客への対応に追われていたといった問題もあったようで、労働時間が適正に把握されていなかったことがうかがえます。
また、同社は、運転手の健康状態や労働時間を把握していなかったなどとして、平成27年2月以降、道路運送法などに基づく行政処分を3回受けていたようです。起こるべくして起こった労災認定事案といえそうです。

“長時間の残業で労災認定”という事例は後を絶ちません。罰則付きの残業の上限規制の法定化が進められていますが、それ以前に、各企業の取組で、労働時間を適正に把握し、過重な残業は控えるべきですね。

なお、仕事のストレスによるうつ病など(心理的負荷による精神障害)については、それ専用の認定基準が別途設けられています。
ここで紹介した事例は、その基準によって有無も言わさず労災認定される「極度の長時間労働(1か月に160時間以上の残業)」を上回る残業が行われていたとされたものです。
参考までに、「心理的負荷による精神障害の認定基準」のパンフレットを紹介しておきます。

<精神障害の労災認定>(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427.pdf