新国立競技場過労死 長時間労働で労災認定

「2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設工事に従事していた現場監督の男性が自殺した問題で、所轄の労働基準監督署が「極度の長時間労働」による精神疾患が自殺の原因だったとして、10月6日、労災認定したことがわかった。」という報道がありました。

遺族側の代理人の弁護士が、10月10日に明らかにしたものです。

男性は、建設工事を受注した建設会社などの共同企業体下請け会社に平成28年4月に入社し、平成28年12月中旬から地盤改良工事の現場監督をしていましたが、平成29年3月に失踪し、4月に長野県内で自殺した状態で発見されました。

労働基準監督署は、男性が失踪前日までの1カ月間に190時間18分の時間外労働をしていたと認定。長時間労働や深夜労働などの過重な業務などによって精神障害を発病し、自殺に至ったと認めたとのことです。

仕事のストレスによるうつ病など(心理的負荷による精神障害)については、専用の認定基準が別途設けられています。

ここで紹介した事例は、その基準によって有無も言わさず労災認定される「極度の長時間労働(1か月に160時間以上の残業)」に該当する残業が行われていたケースということになります。
参考までに、「心理的負荷による精神障害の認定基準」のパンフレットを紹介しておきます。
<精神障害の労災認定>(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427.pdf
なお、今回の事例は、「極度の長時間労働(いわば一発レッドカード)」に該当するため、男性と一緒に働いていた複数の現場監督が証言しているパワハラの有無について、労働基準監督署は判断をしていないということです。