月300時間の時間外労働を認める36協定 国立の医療センターが締結

「ある国立の医療センターが、医師や看護師の時間外労働を最大月300時間まで可能とする36協定を結んでいることがわかった。」という報道がありました(9月7日ごろ報道)。

センターは、医師や看護師らおよそ700人との間に1か月の時間外労働を最大300時間まで延長できる36協定を結んでいるとのことです。
これは、国が定める労災の認定基準であるいわゆる「過労死ライン」の3倍にあたるなどとして、大きな話題になっています。
センターは「上限が高いまま放置されていたが、実際は100時間を超えることはなかった」とし、今後、速やかに協定を改定するとコメントしているようです。

このケース、現行の労働基準法では、36協定の内容自体に罰則はないので、そのような上限を定めたからといって、直ちに罰則に処されることはありません。
では、今、法整備が進められている「時間外労働の上限規制(罰則付き)」が実現すればどうでしょう。
このケースが、一般的な会社であれば、当然罰則の適用となるのですが、医師については、5年を目途に上限規制の適用を猶予する方向で検討が進められています。したがって、猶予されている間は、罰則に処されないということになります(看護師については、言及されていません)。
このような適用の猶予も、時間外労働の上限規制の法整備の上での問題の一つとなっています。

一筋縄では行かない法整備(労働基準法の改正)、秋の臨時国会にどのような法案が提出されるのことになるのか、注目です。
〔確認〕時間外労働の上限規制/本年6月5日の建議(これをもとに法案作成)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000176291.pdf