裁量労働制の拡充などについて審議-国会

2月17日、現在開催中の国会における衆議院予算委員会の集中審議で、“一定の時間、働いたものとみなして賃金を支払う「裁量労働制」の拡充”などが盛り込まれた労働基準法の改正法案(平成27年から継続審議中)が取り上げられました。

民進党の長妻元厚生労働大臣が、「長時間労働が増える危険な法案。労働の規制緩和のしわ寄せが弱い立場の働く人にいく。法案を撤回すべきだ」と主張するなど、反対意見がある中、安倍総理は、「自律的で、多様な働き方を可能にするために行うもので、制度の対象は、業務をみずからの裁量で遂行できる知識や経験を有する人に限定される。本人の同意も必要で、極めて限られた範囲になっていく」とし、その上で、「新たに健康管理をしっかり行っていくこと、対象業務は、労使同数の委員会の決議で選定される仕組みになっており、働く方の立場をしっかりと守っている」などと述べ、同法案の成立を目指す構えを見せました。今後の動向に注目です。

〔確認〕裁量労働制の拡充

●企画業務型裁量労働制の見直し
・企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続の簡素化等の見直しを行う。

●特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
・職務の範囲が明確で一定の年収を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
・また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)

平成27年から継続審議中の労働基準法の改正法案の全体像については、こちらをご覧ください。

「提出時の法案の概要」(施行期日の部分は提出時のものなので内容のみご参照ください)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/189-41.pdf

さらに、同集中審議では、「勤務間インターバル」も話題に上り、加藤働き方改革担当大臣は、「日本で導入している企業は2.2%という水準で、罰則付きのインターバル規制は、今、直に導入しうる環境にはない。まずは導入する中小企業への助成金(※)の創設などを通じて環境整備していく」と述べたとのことです。

(※)「職場意識改善助成金 (勤務間インターバル導入コース)」が該当します。